「予算がないからできない」は本当か
インバウンド対策は「お金がかかる」というイメージが先行しがちです。確かに、複数の施策を本格的に展開しようとすると、月数十万円から百万円単位の予算が必要になります。
しかし、月予算5万円以内でも、優先順位を絞れば確実に成果に近づける施策もあります。むしろ、本格投資に進む前の「最初の一歩」は、この予算帯から始めるのが現実的です。
本記事では、月予算5万円以内で取り組める3つの施策と、90日でこれらを順に整える進め方を解説します。
施策1:Googleビジネスプロフィールの整備(無料)
もっとも費用対効果が高いのは、Googleビジネスプロフィール(GBP)の整備です。GBPの整備は、無料ではじめられるだけでなく、訪日客の店選びにダイレクトに作用します。
GBPの整備でやるべきことは、業種カテゴリの最適化と英語の店舗説明文の追加、属性の設定、写真の追加、営業時間・祝日対応の更新です。店舗オーナーが自分で行う場合、最初の整備にかかる時間は5〜10時間程度です。その後は週1回30分程度の更新で維持できます。
GBPの整備は、訪日客の検索意図に合わせた情報を埋め込むことが重要です。「ただの店舗登録」と軽く見ずに、訪日客が必要とする情報をもれなく登録してGoogleマップ上の表示確率はアップさせましょう。
施策2:英語メニューの整備(1〜3万円)
次に取り組みたいのが、メニューの英語化です。低予算で着手できる施策ながら、訪日客の体験品質を直接的に底上げする効果が期待できます。
メニューの英語化を行うにあたって注意したいのが、無料の機械翻訳のみに頼らないことです。機械翻訳では、料理名や調理法のニュアンスが誤訳されやすく、それが口コミ低評価につながるケースがあります。
英語のメニューを作成する際は、料理名のローマ字表記と一行説明、ピクトグラム(Vegetarian、Halal、Spicyなど)、アレルゲン情報――この4点をセットで整えましょう。
そして、可能ならネイティブチェックを依頼しましょう。ネイティブスピーカーまたは、英語に通じた人のチェックを行うことで、誤訳のない、こだわりや細かなニュアンスまで伝わる英語メニューが作れます。
翻訳発注の選択肢はいくつかあります。クラウドワークスやランサーズで個人翻訳家に依頼する場合は1〜2万円程度、専門の翻訳会社に発注する場合は3〜5万円程度が相場です。
施策3:SNSでの発信(無料〜1万円)
GBPと英語メニューの準備が整ったら、SNSでの発信を始めましょう。SNSは、ターゲット国を絞って発信することで、低予算でも成果が出やすくなります。
媒体の選び方は、ターゲット国によって変わります。欧米豪ならInstagram、台湾・香港ならInstagramとFacebookの併用、中国本土なら小紅書(RED)、韓国ならInstagramが広く利用されているSNSです。SNSでの発信を始める際は、まずターゲットと1〜2ヶ国にしぼり、1〜2媒体で発信を始めましょう。発信の範囲を絞ることで、無理なく継続しやすくなります。
投稿の内容も、難しく考える必要はありません。週2回程度を目安に、写真1枚と英語キャプションを3〜5行、ハッシュタグを5〜10個投稿してください。看板メニューや店内の雰囲気、季節限定情報のいずれかを発信していくだけで、訪日客との接点が積み上がっていきます。
やらない方がいいこと
予算5万円帯では、優先順位の低い施策に手を出さないことも重要です。
海外向けの広告は、運用ノウハウと予算規模の両方が欠かせません。低予算で散発的に出すよりも、無料・低コストの施策で土台を整える方が、長期的な費用対効果が高くなります。
高額なツールの一括導入も、この予算帯では現実的ではありません。無料・低コストのツール(Canva、CapCut、Google翻訳、Pinterestなど)を組み合わせれば、ほとんどのクリエイティブは自分で作れます。
複数施策の同時実行も避けたい選択です。何が効いて何が効かなかったかが分からなくなり、次の判断ができなくなります。
90日プランの組み立て
予算5万円で訪日客を集客するなら、ここまでに紹介した3つの施策を、90日で順に整えていくと良いでしょう。
最初の30日は、基盤整備に充てます。GBPの基本情報や属性を整備し、写真を30枚追加してください。英語の店舗説明文の追加と英語メニューの発注までを進められれば、ゆとりをもって次の施策に移れます。
2ヶ月目に入ったら、SNSでの発信を開始しましょう。納品された英語メニューを店舗に導入し、SNS発信を週2回ペースで行ってください。
3ヶ月目は、これまで実施してきた施策の効果を測定し、今後の方針を見直します。GBPのインサイト機能で表示回数とアクション数を月次で確認するのはもちろん、SNSのリーチ数も合わせてチェックしましょう。これまでに実施した施策の効果を振り返り、必要に応じて追加投資を判断して、次の3ヶ月の施策に繋げます。
補助金活用も視野に入れる
限られた予算でも、補助金を併用すれば取り組める施策の幅が広がります。「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」は、多言語LP制作やAI接客、POSレジの導入などに活用できる補助金です(注1)。
補助金は、申請から実績報告までにさまざまな書類の作成や手続きが発生するため、自社で対応できる範囲を超えている場合は、必要に応じて支援事業者を頼ると良いでしょう。
まとめ:1施策ずつ、確実に積み上げる
月額予算5万円で訪日客の集客を行う場合は、GBPの整備・英語メニューの導入・SNS発信の3つの施策に順に取り組み、3ヶ月単位で効果を振り返ること大切です。手応えが見えてきた段階で、運用代行や攻めの施策へのステップアップを検討しましょう。
施策に充てられる予算が増えてきたら、SNS運用代行や多言語LP制作、AI接客ツールの導入など、より本格的な施策の導入も検討してください。
3つ施策を丁寧に実施して集客の土台を固めることが、最短で次のステージへ進む道です。
▼ 参考資料・出典
注1:IT導入補助金 公式サイト(中小機構運営)/小規模事業者持続化補助金
※コスト感(翻訳費用・ツール費用)は一般的な目安です。実際の費用は発注先・仕様により変動します。
※本記事は執筆時点(2026年5月)の情報を元に作成しています。
月予算5万円から始めるインバウンド対策、ミカタが整理
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