居酒屋は、訪日客にとって「日本らしい食体験」の最有力候補

居酒屋は、訪日客から「日本らしい食体験」を強く期待される業態です。日本政府観光局(JNTO)の調査でも、訪日客が日本で楽しみにする活動の上位に「日本食を食べること」が継続的に挙がっています(注1)。
一方で、「日本人客向けの店」という印象が強すぎると、訪日客の側がそもそも候補から外してしまう特徴もあります。看板が日本語のみ、メニューが日本語のみ、予約は電話だけ――こうした状態では、訪日客は隣の店に流れていきます。
居酒屋は、業態としての魅力がすでに確立されているため、インバウンド集客に取り組みやすいといえます。土台が強いぶん、最低限の整備をするだけで訪日客に選ばれやすくなるのです。本記事では、その「最低限の整備」を5つのステップで解説します。

ステップ1:Googleビジネスプロフィールを訪日客仕様に

訪日客の店選びの起点はGoogleマップです。GBP(Google ビジネスプロフィール)の整備が十分でないと、それだけで見込み客を逃しやすくなってしまいます。GBPを整備することが成果の8割を決めると言っても過言ではありません。
業種カテゴリは「Restaurant」だけで放置せず、「Izakaya restaurant」「Japanese pub」も設定しましょう。これだけで英語クエリでの表示率が大きく変わります。
属性も大切で、「Beer」や「Sake」「Late-night food」「Vegetarian options」など、対応可能なものを積極的にチェックしてください。
店舗説明文は200〜300字程度で構いません。「炭火焼きの焼き鳥」「店主が選ぶ日本酒」「カウンターで職人と話せる」など居酒屋の魅力を、簡単な英語で構わないので、訪日客が想像できる言葉で盛り込みます。
営業時間(特に深夜営業、祝日対応)の表記漏れは、ネガティブな口コミにつながりやすいポイントです。最初にGBPを開設する際に、あらかじめきちんと入力しておきましょう。

ステップ2:写真は「料理」と「店内の雰囲気」を厚く撮る

居酒屋は「店内の雰囲気をビジュアルで見せる」ことで来店動機が大きく変わります。掲載する写真は、料理のものばかりでなく、店内の空気が伝わるカットも積極的に盛り込んでください。
看板メニューや酒類のクローズアップは、訪日客が「これが食べたい」と思える解像度で撮りましょう。焼き鳥や刺身、おでん、季節の一品、地酒などは、特に目を惹きます。日本酒や焼酎は、瓶のラベルが見えるように撮影するのも重要なポイントです。ラベルを写すことで、訪日客が日本酒の銘柄で検索したときに自店がヒットする確率が上がります。
店内の写真も重要です。カウンターや座敷、個室の様子はもちろん、店主や職人が働く姿も掲載しましょう。「ここに入ったらこんな空気が味わえる」というイメージが湧くと、訪日客の予約・来店ハードルが大きく下がります。

ステップ3:多言語メニューを「ストーリー付き」で用意する

多言語メニューのメニュー名は、「料理名を直訳」したままでは訪日客に伝わりません。「Yakitori」とだけ書かれていても、それが何のことか分からない訪日客も少なくないからです。
おすすめなのは、料理名のローマ字表記と一行説明の組み合わせです。「ねぎま(Negima) / Grilled chicken & green onion skewer」のように、料理名と中身がワンセットで分かるようにすると、理解度が大きく変わります。
辛さ・量・アレルゲンのピクトグラム表示も併せて取り入れましょう。訪日客は食制限への配慮を強く意識するため、簡易なピクトグラムを添えるだけで、ヴィーガン・ハラルなど食制限を持つ訪日客の選択を助けられます。
日本酒や焼酎については、産地と味の特徴を簡潔に英語で添えると、酒に興味を持って訪れる訪日客の体験を一段深められます。

ステップ4:予約導線とノーショー対策を整える

居酒屋は「飛び込みOK」の文化が強い業態ですが、訪日客は事前予約を前提に動く層が多くいます。日本語のみの予約フォーム・電話のみの対応では、海外からの予約はほぼ取れません。
海外からの予約を取るには、公式サイトに英語予約フォームを設置するか、TablecheckやOpenTableといった海外OTAへの掲載を検討しましょう。
予約導線を整える際は、ノーショー対策も同時に考えることをおすすめします。前金やクレジットカード登録、リマインドメッセージの送信など、無断キャンセル防止策を充実させることは、インバウンドからの予約を受けるならマストです。
ノーショーは「外国人だからするもの」ではなく、リマインドや予約システム設計次第で大きく改善できる領域だと捉え直すと、対策が見えてきます。

ステップ5:接客は「日本らしさ」と「分かりやすさ」を両立させる

居酒屋ならではの接客は、訪日客にとって最も価値があるもののひとつです。完璧な英語で接客することよりも、職人の手仕事や店主との会話、おすすめを聞ける関係性といった日本ならではの文化を体験できる場所だからこそ、訪日客は居酒屋を好んで訪れます。
カウンター越しの会話は、ポケトークや翻訳アプリで補完しつつ、指差しメニューやジェスチャーで「伝えようとする姿勢」を示しましょう。店舗がインバウンドを歓迎する姿勢を見せることは、満足度と口コミ評価に大きく影響します。
「本日のおすすめ」や「常連が選ぶ一品」など、訪日客が「現地の人が薦める体験」として喜ぶ要素を、英語の小さなカードで添えるのも、体験価値の向上に役立つでしょう。

まとめ:5ステップを順番に、無理なく

居酒屋のインバウンド集客は、GBP→写真→多言語メニュー→予約導線→接客の5要素を順番に整えることが成功への近道です。
すべてを自店だけで取り組むのは難しい場合は、支援事業者の力を借りることも検討しましょう。多言語メニューの作成やMEOの継続運用、OTAの運用などは、業態を熟知した支援事業者の力を借りることで、効率的に成果が出せます。
支援事業者を選ぶ際は、居酒屋の文脈を理解してくれる事業者を選ぶことが大切です。

▼ 参考資料・出典

注1:日本政府観光局(JNTO)「訪日外国人の消費・行動」関連調査では、訪日客が日本で楽しみにする活動として「日本食を食べること」が継続的に上位に挙がっています。
※本記事の5ステップは編集部での一般的な整理であり、業態の細分(焼き鳥/和食居酒屋/ラーメン居酒屋等)により最適解は変動します。
※本記事は執筆時点(2026年5月)の情報を元に作成しています。

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