訪日外国人の数は年々更新を続け、「まず何から手をつければいいのか分からない」という声を、店舗・宿泊施設の担当者からよく耳にします。SNS運用、多言語サイト、OTA登録、口コミ対応……やるべきことは多岐にわたりますが、実はその起点となるのは「Googleマップでどう見つけてもらうか」というMEO(マップエンジン最適化)対策です。本記事では、公的統計や調査データをもとに、2026年時点でのインバウンド集客・MEO対策の全体像を整理します。

2026年、訪日インバウンド市場はどこまで拡大しているか

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2025年の年間訪日外客数は4,268万3,600人となり、前年(3,687万148人)を15.8%上回って過去最高を更新しました※1。年間で4,000万人を超えたのは初めてのことです。 消費額の面でも、観光庁「インバウンド消費動向調査」によれば、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)で過去最高を記録し、1人当たりの旅行支出は22万9千円と推計されています※2。 
2026年に入ってからも、月によって前年を下回る局面はあるものの、多くの市場で単月として過去最高を記録する月が続いており※3、政府が第5次観光立国推進基本計画で掲げる「2030年に6,000万人・消費額15兆円」という目標に向けて、市場は拡大基調にあるとみられます※4。 一方で、国・地域ごとの動きにはばらつきがあります。
2025年は中国からの旅行者数が前年比30%超の伸びを見せた一方、2026年に入ってからは中国からの訪日客数が前年を下回る月が続くなど*5、単一市場への依存はリスクにもなり得ます。「どの国に強いか」ではなく「複数の国・地域でどう見つけてもらうか」という視点が、これまで以上に重要になっています。

訪日客の行動を変えた「デジタル起点」の集客導線

インバウンド対策というと、多言語サイトやSNS発信をまず思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実際に訪日客が旅行中に最も利用しているツールはGoogleマップです。 訪日客向けアプリ「Payke」を運営する株式会社Paykeが2025年に実施した多言語アンケート調査(繁体字中国語・英語・韓国語話者1,827名対象)では、訪日客の99%が旅行中に「Googleマップ」を利用していると回答しています※6。
移動のための地図としてだけでなく、飲食店や観光地を探す場面でも積極的に活用される傾向が指摘されています。 つまり、店舗や施設の情報が多言語サイトやSNSでどれだけ充実していても、Googleマップ上の情報が古かったり、口コミへの返信がなかったりすると、訪日客の目に触れる機会そのものを逃してしまう可能性があります。
多言語サイトやSNSは「深く知ってもらう」ための入口、Googleマップは「見つけてもらい、選んでもらう」ための入口として、役割を分けて考えることが出発点になります。

MEO対策の基本:Googleビジネスプロフィールで今すぐ整えるべき項目

MEO対策の土台となるのが、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)です。無料で開設・運用でき、オーナー確認を行うことで店舗名・営業時間・写真などの情報を管理できます。訪日客向けに特に効果が期待できる基本項目は次のとおりです。

店舗名・カテゴリの正確な設定 

実店舗の看板や公式サイトの表記と一致させ、業態に合ったカテゴリを選択します。表記が揺れていると、同じ店舗が複数の情報として登録され、口コミが分散してしまう原因になります。

営業時間・定休日の最新化 

訪日客は現地に到着してからGoogleマップで営業状況を確認する行動が中心です。臨時休業や時短営業の情報が古いままだと、来店機会の損失に直結します。

多言語での店舗説明・属性情報の追加 

無料Wi-Fiの有無、クレジットカードやキャッシュレス決済への対応、多言語スタッフの有無、アレルギー対応の可否など、訪日客が来店前に不安を感じやすいポイントを「属性」欄や説明文で明示します。

写真・メニュー情報の充実 

料理写真やメニュー情報の掲載は、来店の意思決定を後押しする材料になります。特に飲食店では、料理名の英語表記やローマ字表記を添えることで、注文時のトラブル防止にもつながります。

これらの設定は無料で行えますが、①③④の充実度は業種や店舗規模によって優先順位が変わります。多言語対応スタッフを常時配置できない個人店舗や小規模事業者にとっては、まず属性情報の整備と写真の充実から着手する方法が、限られた人員でも実践しやすい選択肢の一つと考えられます。

口コミを「集客の資産」に変える運用のコツ

Googleマップ上の口コミは、訪日客が店舗を選ぶ際の重要な判断材料になっているとされています。口コミ対応で押さえておきたいポイントは以下の3つです。

投稿を「お願いする」導線をつくる 

チェックアウト時や会計時にQRコードを提示し、口コミ投稿ページへ直接遷移できるようにするなど、投稿のハードルを下げる工夫が有効です。

多言語での返信を行う 

日本語のみの返信では、内容が伝わらないまま次の訪日客の目に触れることになります。定型文をいくつか用意しておき、感謝の言葉やお詫びの言葉を多言語で返信できる体制を整えておくと、継続的な運用がしやすくなります。

ネガティブな口コミにも誠実に対応する 

否定的な口コミを放置すると、他の訪日客に「対応に消極的な店舗」という印象を与えかねません。事実関係を確認したうえで、改善に向けた姿勢を示す返信を行うことが、信頼回復の第一歩になります。
なお、AI翻訳ツールを使って多言語対応を行う場合、料理名や専門用語、文化的なニュアンスは誤訳が生じやすい領域です。アレルゲン情報や利用規約、料金といった「間違えてはいけない情報」については、ネイティブチェックを組み合わせることが望ましいとされています。

SNS・プラットフォーム別の使い分け方

訪日客の情報収集は、出身国・地域によって利用するプラットフォームが大きく異なります。「全世界共通の発信」よりも、ターゲットとする国・地域に合わせた使い分けが重要です。

欧米豪市場:Instagram・Facebook

写真・動画を中心とした「体験の共有」が好まれる傾向があります。単なる風景紹介ではなく、「そこでしかできない体験」を伝えるコンテンツが効果を発揮しやすい市場です。

中華圏市場:小紅書(RED)・WeChat

中国本土ではGoogleが利用できないため、小紅書(RED)や大衆点評、WeChatといった独自のプラットフォームへの理解が欠かせません。近年は、店舗での対応がSNS上で短時間に拡散される傾向も指摘されており、丁寧な接客そのものが発信材料になり得る一方、対応への不満も同様に広がりやすい点には注意が必要です。

東アジア市場:Naver・KakaoTalk

韓国市場ではNaverやKakaoTalkなど、日本国内ではなじみの薄いプラットフォームが情報収集の中心になることがあります。こうしたプラットフォームの特性を踏まえると、「多言語対応が難しく、まずGoogleマップとInstagramの2つに絞って運用したい」という小規模事業者には、欧米豪市場を中心としたSNS発信とMEO対策の組み合わせが取り組みやすい選択肢の一つと考えられます。
一方で、中華圏からの来店比率が高い立地・業態の店舗では、小紅書やWeChatへの対応を優先する方が実情に合っている場合もあります。自社の客層データを踏まえたうえで、優先順位を判断することが重要です。

OTA(宿泊予約サイト)とGoogleマップを連携させる考え方

宿泊施設の場合、Booking.comやAgoda、Trip.comといったOTA(Online Travel Agent)への登録は集客の主要な導線になります。ここで意識したいのが、「公式サイト・OTA・Googleマップの情報を一致させる」という視点です。 料金や設備情報が情報源ごとに食い違っていると、訪日客の不信感につながるだけでなく、後述する生成AI検索での推薦にも影響する可能性があります。まずはOTA上の写真・説明文・料金体系と、Googleビジネスプロフィールの情報を照らし合わせ、矛盾がないかを定期的に確認する運用をおすすめします。

生成AI検索(AIO)時代に押さえておきたい新常識

ChatGPTやGeminiなどの生成AIを使って旅行先や宿泊先を検索する動きが広がりつつあります。生成AIは、公式サイトの情報だけでなく、口コミの量や複数の情報源における記載の一貫性を手がかりに回答を組み立てているとされています。 

これを踏まえると、これまでのSEO・MEO対策に加えて、次の2点を意識することが今後の差別化につながると考えられます。

英語での情報の構造化

 公式サイトの英語版が日本語ページの直訳にとどまっていないか、訪日客が実際に検索しそうな言葉で情報が整理されているかを見直します。

複数の情報源での一貫性

 公式サイト・Googleマップ・OTA・SNSの間で、店舗名や営業時間、料金などの表記が揃っているかを定期的にチェックします。情報源ごとに内容がばらついていると、AIによる推薦の対象から外れやすくなる可能性があります。
生成AI検索はまだ発展途上の領域であり、対策の効果を一律に数値で示すことは難しい段階です。まずは既存のMEO・SNS運用の精度を高めることが、結果として生成AI検索への対応にもつながっていくと考えられます。

まとめ:MEO×SNS×OTAを一気通貫で設計する

2025年に4,000万人を超えた訪日外客数は、2026年以降も政府目標に向けてさらなる拡大が見込まれています*1*4。その一方で、訪日客の99%が利用するというGoogleマップ上での見つけやすさが、集客の入口として無視できない存在になっています※6。
MEO対策・口コミ運用・SNS発信・OTA登録は、それぞれ別々の施策に見えて、実際には「訪日客がどの情報源で店舗・施設を知り、どの情報源で最終判断をするか」という一連の導線でつながっています。
自社の客層や業態に合わせて優先順位をつけながら、情報の一貫性を保って運用していくことが、これからのインバウンド集客の土台になります。
訪日インバウンドのミカタでは、MEO対策・SNS運用・OTA登録・多言語対応まで、貴社の業態や予算に合わせた優先順位の整理をサポートしています。何から着手すべきかお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

▼ 参考資料・出典 ※1 訪日外客数(2025年12月推計値)|JNTO(日本政府観光局) https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html 

※2 インバウンド消費動向調査2025年暦年(速報)及び10-12月期(1次速報)の結果について|観光庁 https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00071.html 

※3 訪日外客数(2026年5月推計値)|JNTO(日本政府観光局) https://www.jnto.go.jp/news/press/20260617_monthly.html 

※4 訪日4000万人、新たな時代到来 2025年推計値は過去最高の4268万人|観光経済新聞 https://www.kankokeizai.com/2602100630kks/ 

※5 訪日外客数(2026年4月推計値)|JNTO(日本政府観光局) https://www.jnto.go.jp/news/press/20260520_monthly.html 

※6 訪日客の99%が「Googleマップ」を利用 観光地・飲食店探しにも積極的に活用(Payke)|訪日ラボ 
https://honichi.com/news/2025/07/25/payke_traffic/

※本記事は執筆時点(2026年7月)で公表されている情報をもとに作成しています。最新の統計・数値については、各出典元にてご確認ください。